横浜市議会議員 公明党所属 仁田まさとし
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■ 「政治資金規正法違反事件」にみる責任と処分について

横浜市会の平成18年第3回定例会に、町田市長選をめぐる政治資金パーティー事件による中田横浜市長の処分のための議案が提出されました。
前港北区長である「石阪丈一さんにエールを送る横浜市職員の会」の開催に関して、政治資金規正法違反の疑いで200人を超える横浜市職員が警察の事情聴取を受け、前市長室長に罰金30万円の略式命令が下されるという、前例のない巨大な事件によるものです。

主な処分内容は、市長が報酬50%カット3ヶ月、他の特別職は減給30%の3ヶ月などであり、前市長室長は停職9ヶ月、その他関与の程度により減給や戒告、文書訓戒、口頭注意となっており、総勢88人の処分に及びました。

この事件で、横浜市議会に調査特別委員会が4月に設置され、10回にわたり鋭意調査が行われ、9月13日の本会議で委員長から報告があったところです。当局についても調査チームが結成され、この8月にその調査報告が出されています。
私は、この議案に関連して、今回の市長自身の処分について質問しました。

市長からは「360万市民の市政運営を預かる市長としての責任はだれよりもあり、多くの幹部職員が係わり長期に市政運営へ大きな影響を与え市民の信頼を損ねた事態となり、全体の責任を負った」と説明があり、さらに「一番身近にいた職員である前市長室長が中心的に関与した事件であり、過去の教訓が生かせなかった」ことなどをあげ、御自身で課した厳しい処分に理解を求めました。

今回の事件は、まさに市民の信頼と期待を最大に裏切った事件であり、これまで市長室長が深く関連する事件は3件ありその3回目が前例のない巨大な事件に発展してしまったことは極めて大きな責任が横浜市全体に課せられたということであります。信頼回復の道は険しく遠く、極めて深い認識を持ち反省しなければ再発防止の実現はあり得ません。 市長と職員間で乖離している改革の意識、予想を超える脆弱な危機管理意識、不十分な組織相互の牽制機能、行政と政治との曖昧な距離感など、再発防止に向け抜本的な見直しが求められます。

この様な中で下された処分について、私はさらに次の主旨の質問を行いました。

  1. 事件の当事者の処分より監督責任を重くみる今回の処分を、今後も本市の原則にするのか?
    (例えば「エールを送る会」の発起人に名を連ねた副市長や局長より、終始一貫して関与を否定されている市長の監督者としての責任を重くしていることは、従前の監督者責任の処分には見られないことです。)
  2. 行政路線補助金について不適切な積算を行った交通局の経営責任職職員に対する処分より監督者である交通局長に対する処分が軽いことは、ほぼ同時期に下された政治資金規正法違反事件での市長の処分と比べて均衡を欠くものではないか?
      (不適切な積算について交通局長は直接関与していないとしており、その意味では政治資金規正法違反事件に関与を否定する市長と同じ立場であり、当事者である部長より交通局長の処分は文書訓戒と軽く、交通局長を任命した市長は処分もされていません。)
しかし、中田市長からの答弁は、前述の説明に終始し、これらの関係については曖昧と言わざるを得ません。特に今後の処分のあり方は、横浜市のみならず他都市首長のそれにも影響を与えるものであります。

特に懸念されることは、このことにより市長と幹部職員との間に意識の乖離が増幅されないかということです。今後も改革に向け退っ引きならない山や谷を越えなければならない場面も予想され、これまで以上に監督者としての責任感が求められることは言うまでもありません。と同時に改革の志や心を幹部職員が共有する必要があります。必死に努力している幹部職員の汗が報われる職場風土、同じ方向を目指し談論風発する心ある職場風土の醸成が必要です。しかし、処分のあり方について過度な厳格性は処分本来の意味を損ねるばかりか、職員の心に「またか」とか「そこまでして・・・」という心や無力感を漂わせかねません。

そのことによる一番の被害者は横浜市民であることを努々忘れてはならないと思います。